昨年2020年には人気を博した「給料ファクタリング」に規制が入り、利用することができなくなってしまいました。
一方で「後払い現金化(ツケ払いサービス)」が登場し、こちらも複雑な手続きがなく利用者の手間もないことから、すでに市場では現金調達の中心的なサービスとなっています。
本章では両者の違いについて、違法性の有無やメリット、デメリットなどと共に解説していきます。
目次
給料ファクタリングは「債権譲渡取引」
まずは給料ファクタリングとはどういうものか、取引の性質的な側面からとらえていきます。
「ファクタリング」とは、元々はビジネスを行う事業者が売掛債権を現金化する取引を指します。
掛け取引を行うビジネスでは個別の売買取引でいちいち精算せず、将来の決まった期日にまとめて支払いを行う慣行があります。
売掛債権は、将来売掛金を回収できる権利としてファクタリング業者に売却することができ、性質としては債権の譲渡取引にあたります。
給料ファクタリングはこれを個人向けに応用したもので、将来決まった期日に勤め先から給料をもらえる権利を給料債権(売掛債権の代わり)と捉え、これを売却して現金に変える仕組みです。
昨年金融庁が給料ファクタリングは実体として貸金業であると認定しましたが、それ以前は債権譲渡取引として運用されていました。
給料ファクタリングのメリット・デメリット・違法性について
給料ファクタリングは、金融庁が実体として貸金業であると認定したため、必要な事業者登録をせず、認められていない金利換算の負担を強いていることから違法性のある闇金として認定されています。
そのため今では利用できなくなっていますが、ここでは利用が可能だった当時のメリット・デメリットを簡単にまとめてみます。
<メリット> ・借り入れではないことから、金融ブラックでも利用できる ・信用情報機関に登録されない ・保証人や担保が不要 ・クレジットカードがなくても現金調達が可能 ・即日で現金調達が可能 |
<デメリット> ・手数料が高い(30%~40%ほどの手数料がかかる) ・後日の精算ができないと取り立てが厳しい ・悪質な業者が多い |
後払い・つけ払い現金化は債権がなくても利用できる
では給料ファクタリングに代わり登場した後払い・つけ払い現金化はどのようなサービスなのでしょうか。
こちらは何らかの債権を売るということはしませんので、少なくとも「ファクタリング」ではないことが分かります。
後払い・つけ払いを利用すると、今手元にお金がなくても何らかの商品を買うことができますよね。
後払いで商品を購入し、その商品を転売すればその売却代金を手にすることができ、これにより現金調達が可能です(商品転売方式)。
また後払いで何らかの商品を購入し、そのおまけとして業者から即時のキャッシュバックを受けることで現金を調達できることもあります(キャッシュバック方式)
商品転売方式とキャッシュバック方式でロジックが異なりますが、どちらも債権の譲渡取引ではないのでファクタリングではないことは明らかです。
給料日など、後日の約定した期日に後払いの精算を行う点は給料ファクタリングと同様ですが、取引の性質自体は根本から異なるという所は押さえておきましょう。
気になるのは違法性やメリット・デメリットですが、これを次の項で見ていきます。
後払い・つけ払い現金化のメリット・デメリット・違法性について
後払いは支払いを先延ばしにするということで「割賦販売」に該当するのではという意見も一部であるようです。
割賦販売に該当すれば割賦販売法の適用がありますが、後払いの精算が60日以内の場合は割賦販売法の適用から外れます。
後払い・つけ払い現金化はほとんどが1か月以内の精算となるため、割賦販売法の適用はないことになります。
その他の法律についても現状で明確に違法性が認められた事例はなく、法規制の対象にはなっていません。
以下ではメリットやデメリットについて見ていきます。
後払い・つけ払い現金化のメリット
メリットについては給料ファクタリングと同様で、借り入れではないことから金融ブラックでも利用できることや信用情報に影響がありません。
また、担保や保証人が不要で即日の現金調達が可能といったことが挙げられます。
後払い・つけ払い現金化のデメリット
デメリット面もほぼ給料ファクタリングと同様で、手数料を取られるので現金化にはロスが生じます。
また法規制がないことから多くの業者が参入している状況ですので、悪質な業者が増えてくることが予想されます。
精算期日に支払いができないと、個人情報を使った嫌がらせなどをされる危険もありますから、業者選定には気を配る必要があります。
まとめ
この回では給料ファクタリングと後払い現金化(ツケ払いサービス)の違いについて見てきました。
メリットやデメリットはほぼ同じとみることができ、大きな違いは取引の性質になります。
後払い現金化は今のところ違法性はないとされているので、市場で多くの人が利用しています。
ただし質の良くない業者の流入も心配されているので、利用を検討する場合はネット等で業者の素性をよく調べる必要があります。