新型コロナウイルスの発生から数年たった今でも収束は見通せず、発生当初から懸念されていた経済停滞による国民の疲弊は現実のものとなっています。
生活資金の枯渇から生活苦に陥る国民が出始めており、これに乗じて違法な金融業者が取引を持ちかける例が増えているようです。
中でも、これまでの闇金と違い優しいイメージで近づいてくる「ソフト闇金」の活動が活発になっており、つられて利用してしまう人も増えているので注意が必要です。
本章ではコロナを背景に活発化しているソフト闇金がどのようなものか、実態や手口、注意点などについて詳しくお伝えしていきます。
目次
ソフト闇金とは?
ソフト闇金というのは、一見して優しい対応で利用者を安心させるなど、従来よりも利用のハードルを下げて運営している闇金業者をいいます。
従来の闇金といえば、あからさまに高圧的な態度を取ったり、外見からして暴力団のような輩がほとんどでした。
中小事業者がメインの利用者だった昔はそれでも運営できていたのでしょうが、近年は残念なことに一般の個人でも手を出してしまう人が増え、これに適応するためにサービス業的な対応をする闇金業者が増えてきました。
いわゆるお客様対応のように丁寧な受け答えをして安心させたり、業者によっては相談してきた人のグチを親身に聞くなどして信頼(のような気持ち)を醸成させ、警戒感を削ぐように取り繕うところもあります。
このような手段により、まるで友人のような親近感を持たせることが可能になり、カモにされているという意識を持てない人がソフト闇金を利用してしまいます。
そのため周囲に相談することもせず、違法な金利にもかかわらずせっせと返済を続ける人もいるようです。
不審に思った周囲が「それは闇金だから注意して!」と言われても、「彼は親身に私の話を聞いてくれる」として聞く耳を持ちません。
こうしてどんどん深みにはまり、抜け出せなくなっていきます。
ただし、ソフト闇金といっても最初の対応がソフトなだけでその実態は変わりません。
闇金は適法な金融業者と違いルールに則って営業する気はなく、また利用者はカモとしてしか見ていません。
返済すればそれで終わりではなく、下で述べるように様々なあくどい手口で返済させないようにしたり、仮に返済できた場合でも難癖をつけてさらに金品を要求します。
近年はネット上での営業活動が容易になり、闇金業者は摘発を逃れやすい環境にあるため堂々とHPを持って宣伝する業者も多くいます。
闇金は即日で現金を振り込んでくるところもあり、現金が欲しい一般の個人客にとっては魅力的に映るかもしれません。
しかし一旦利用すれば、あとは彼らにカモにされる人生を送ることになるので、決して利用してはいけないものです。
ソフト闇金を利用してはいけない理由
ソフト闇金は入り口がソフトなだけで、根本の悪質性は従来のそれと変わりません。
返済が滞れば悪質な取り立てで利用者を追い詰めていきます。
厄介なことに、個人情報や口座情報などをソフト闇金側に提出しなければ利用できないので、利用者は僅かなお金欲しさにこれらの重要な情報を相手に渡してしまいます。
これらを手にしてしまえばしめたもので、闇金業者はいざとなれば相手を脅して言うことを聞かせることができます。
利用者本人やその家族、子ども、子どもの学校、勤め先、勤め先の同僚、同僚の家族、会社の取引先などにも嫌がらせが及び、利用者は闇金の言うことを聞くしかなくなります。
住所もバレていますから、原因が利用者にあることを付してご近所さんにも嫌がらせが及びます。
結果、利用者はその人たちに責められ、孤立し、どんどん追い詰められていきます。
さらに厄介なのが口座情報の扱いです。
口座を伝えなければ振り込みを受けられないので必ず伝える必要がありますが、闇金は利用者の口座を勝手に営業に用いることがあります。
例えば別の取引相手Aさんに対し、返済金の振込先としてBさんの口座を指定します。
Bさんは融資を受けたと感じますが、Aさんにとっては返済です。
Aさんが闇金の被害を弁護士や警察に相談すると、Aさんがお金を振り込んだ口座を凍結する手配が取られます。
実際にはBさんの口座が凍結されるわけですが、警察や弁護士、そして金融機関はその口座の名義人であるBさんを闇金業者の仲間として認識します。
取り調べを受けることもあるのでこちらも問題ですが、それよりも大きな問題が口座の凍結です。
全国の金融機関はお互いに連携し金融犯罪に対抗するため情報共有を行っており、一つの口座が凍結されると、その金融機関の全ての口座はもちろん他の金融機関の口座も凍結されます。
さらに、将来にわたって新たに口座を開くこともできなくなります。
この時代において、口座を持てないことがどのくらい悪影響を及ぼすかは想像に難くありません。
口座の凍結解除は困難を極め、弁護士でも「ほぼ不可能」と言い切るほどです。
一度の過ちで人生を棒に振ることになるので、ソフト闇金は決して利用してはいけません。
ソフト闇金の手口
ソフト闇金は、表面上は信用できそうな説明をしておきながら、個人情報を手に入れれば適当なところで本性を出して相手を追い詰めていきます。
例えば返済の際に、まず電話連絡を入れることを条件にしておき、その上で返済時に利用者が電話をかけても出ないで放置します。
そして「約束違反」を指摘して返済を認めず、さらに利息を上乗せするなどの行為を平気で行います。
文句を言えば先の嫌がらせで痛めつけられます。
仮に返済できたとしても、後から「返済がまだ残っていた」「支払いはまだ受けていない」などのウソを平気でつき、口答えすると苛烈な嫌がらせを仕掛けます。
返済ができないと訴えると、利息だけとって元金の返済を伸ばす「ジャンプ」が可能だと提案し、その代わりに携帯電話や金融機関の口座を開設して渡すように要求したりもします。
こうした話に応じてしまうと、利用者側も刑法上の責任を負うことがあるので大変危険です。
実際に利用者側で逮捕者も出ていますから想像の話ではありません。
過去に利用した者に対しては、勝手に口座に金を振り込んで利息付きで返済を迫る「押し貸し」もよく見受けられます。
「借りる意志などない」と口答えすれば例の嫌がらせの嵐です。
結局、ソフト闇金も個人情報を渡さなければ利用できず、渡してしまえば後はまな板の上の鯉状態で、されるがままです。
最近はSNSを利用した嫌がらせも好んで行われ、金を借りて返さないことはもちろん、事実でないことをでっちあげて利用者の信用や尊厳を貶める投稿をし、あたかもそれが事実であるかのような状態をつくり上げていきます。
住所がバレているので実力の行使もされます。
闇金側の足が付かないように、他の利用者で返済が滞っている者に指示し、ターゲットの家や車などを破損させたり、郵便受けに汚物や動物の死骸を入れるなどの行為をさせます。
指示に逆らうとひどい目に合うので、指示された者も従うしかありません。
とにかくありとあらゆる方法で嫌がらせが行われるので、過去には闇金利用者の自殺者も出ています。
ソフト闇金の危険性と恐ろしさについて、少しはお分かりいただけたでしょうか?
ソフト闇金を利用してしまったらどうする?
ソフト闇金も含め、闇金から借りた金は法律上は返済の必要がありません。
正確に言えば、闇金とは法律上の取引自体が生じていないと解釈され、従って返済は不要ということになります。
ですからソフト闇金からの返済要求に対して「返さない」と言うことはできるのですが、そうなれば前述の嫌がらせの餌食になります。
「こんなことをされるくらいなら金を払った方がましだ」と思えるような苛烈な嫌がらせを長期間にわたってしてくるので、精神的にも追い詰められます。
対処法としては、身の危険がある場合はまず警察に相談することになりますが、居場所や正体が分からない闇金を摘発するには相当な時間と人員を投入しなければならないので、相当大掛かりな事件で被害者が多発している事案でなければ警察は本格的な摘発には動いてくれません。
個人的に電話による警告をしてくれる警察官もいますが、ほとぼりがおさまった頃に嫌がらせが再発するので、警察よりだったら弁護士に相談して速やかな根本解決を目指す方がおさまりが付きやすいでしょう。
弁護士であれば状況に応じて元金は返すなどの交渉により、嫌がらせを避けつつ現実的な解決に向けた対処が望めます。
ソフト闇金と適法業者の見分け方
ソフト闇金の中には、以下のように堂々とネット上で「ソフト闇金です」とうたって活動している者もいます。
ソフト闇金バルーンhttps://balloon-sy.com/ |
ソフト闇金is(イズ)https://motion-toolbox.com/ |
ソフト闇金GOTOキャッシングhttps://collegeinitiative.org/ |
ソフト闇金ピカソhttps://ipolicynetworks.com/ |
ソフト闇金のんびりhttps://nonbirisoft.com/ |
ソフト闇金あいきんhttps://aikinsoft.com/ |
ソフト闇金アップルキャッシングhttps://dignity2012.org/ |
このような業者は一見してソフト闇金だと分かりますが、そうでない業者もいます。
「ソフト闇金」とはうたっていなくとも、HPは一見して怪しさがにじみ出るので、直感的に闇金の臭いを感じ取ることはできると思います。
適法な金融業者はHPの構成も明るく清廉性を感じるので、見比べれば違いを肌で実感できるでしょう。
最も確実な見分け方としては、正規の金融業者は必ず貸金業登録番号を掲載しているので、まずこの掲載が無ければ違法業者とみて間違いありません。
しかし偽の番号を掲載したり、本物の番号を盗用して掲載する闇金もいます。
そこで、目当ての金融業者の貸金業登録番号を確認したら、金融庁が管理するこちらのサイトで登録番号の真偽を確かめてみましょう。
登録貸金業者情報検索 https://clearing.fsa.go.jp/kashikin/index.php |
大事なことは、登録番号に紐づいた業者の電話番号がHPに掲載されているそれとあっているか照合することです。
本物の登録番号を盗用している闇金業者もいるので、確実な判別をするにはこのように照合作業が必要になります。
まとめ
この回ではコロナ下で活動が活発化している新手の「ソフト闇金」について、性質や実体、手口、注意点や対処法などを見てきました。
ソフト闇金は入り口がソフトなだけで実態は闇金そのものですから、対応の柔らかさに騙されて手を出してしまうことがないように十分に気を付けなければいけません。
ソフト闇金のような危険な業者を利用せずとも、後払い・先払い現金化など安全な個人向けの資金調達サービスがあるので、金策が必要な場合はこちらを検討するようにしてください。